バレない嘘をついてよ。
「何にもないって、大丈夫だよ」
私の悪い癖。
人に素直に頼ったり甘えたり、
することが怖くて出来ない。
だって、
もし裏切られたら?
頼りになるって思ったけど、
実は私の味方じゃなくて敵だと知った時、私はきっと立ち直れない。
だったら、
いっそうのこと頼らなければいい。
私はそう思う。
「……じゃあ、私行くね」
夜神は何も言わない。
私は夜神の前を、
少し早歩きして通りすぎた。