バレない嘘をついてよ。


俺は、
屋上や図書室など走り回った。



……佐伯

……佐伯……梓



声が聞きたい。

嘘でもいいから、
”大丈夫だよ”の一言が聞きたい。


嘘でもいいから、
佐伯の……笑顔が見たい。



俺は必死に走った。

心の中で”佐伯”と叫びながら。



「や……葯伊江……」


ふと、
通りすぎた教室から声がした。


……佐伯?


俺は恐る恐る教室のドアを開けた。



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