バレない嘘をついてよ。
「何とか言えよ、佐伯‼︎ 」
夜神の怒鳴り声が響く。
私はなにも言わない。
……いや、言えなかった。
「一八、どうしてそんなに焦ってるの? 」
「葯伊江……、お前佐伯とキスしただろっ! 」
私と葯伊江がキス⁉︎
「ちょっと、待ってよ夜神! 私……葯伊江とキスなんかーー 」
「見たんだよ」
「だから、それは誤解ーー 」
「俺はこの目で見たんだよ‼︎ この教室でお前と葯伊江がキスしてるとこを! 」
夜神は側にあった机を蹴った。
これは、
今までの中で一番最悪な喧嘩だ。
すれ違いとか喧嘩とか、
たくさんあったけど夜神は……
こんな怖い顔を見せなかった。