バレない嘘をついてよ。
「……うるさい」
素直じゃない私。
「あっ、梓! 」
よく知った声が聞こえた。
「ゆっ悠人⁉︎ 」
「お前、梓に何かしたのか? 」
悠人はイチハツの胸ぐらを掴む。
「おい、こいつは誰だ」
「……兄です」
イチハツは、面倒くさそうな顔をしている。
「悠人、この人は違う。別に心配することはないから、帰ろ」
私は強引に悠人の腕を引っ張った。
ちゃんとお礼すれば良かったな。
また会えたらお礼しよう。
私は振り返らず公園を出た。