バレない嘘をついてよ。
「なぁ、梓」
暗い夜道のなか、私と悠人は家に向かっていた。
「本当に何もなかったのか? 本当はあの男に、何かされたんじゃ……」
「違う、むしろ助けてくれた人だよ。さっき、私がヤンキーに絡まれてるとこを助けてもらったの」
微妙に納得してない悠人。
「まぁ、梓が大丈夫ならいいけど……前みたいに無理すんなよ? 」
と頭をポンポン叩かれた。
「おっせかい」
けど、そのおっせかいが嬉しかった。