バレない嘘をついてよ。
「清水? ……清水だよね! 久しぶりじゃん」
「……綾野」
”綾野”と叶は確かに言った。
私の鼓動が早くなっていく。
嫌な過去がまた、思い出される。
綾野は中学の時に、私をいじめたグループの主犯格。
「雰囲気変わったね。前は穏やかな雰囲気だったけど、今は男前って感じね」
「綾野こそ変わったよ」
綾野はまだ気づいていない。
清水の肩から少し顔を出し、
私は綾野の姿を見た。
栗色の髪にパーマをかけ、ピンクのリップを塗っている。
中学の頃と随分変わったな……。
「ん? 」
「っ……‼︎ 」
目が合った……。
気づかれた?