バレない嘘をついてよ。
……てか、
何でこんなにアイツのことを
私は、気にしてるんだろう?
別に好きじゃない。
性格は自分勝手だし……
第一印象が最悪だったしね。
ーーでも
時々見せる、夜神の優しさと笑顔に胸が高鳴っている私がいるのも事実。
どうしちゃったんだろう……私。
「……っ!……おいっ! 」
「えっ……⁉︎ 」
気づけば目の前には、
黒縁メガネをかけた夜神がいた。
不思議そうに顔を覗き込む夜神に、
不覚にもドキッとしてしまった。
「なに? 」
無愛想な私。
「髪ゴム持ってない? 」
「持ってるけど……」
「貸して! 」
両手を合わせて、お願いポーズをとる夜神。
……何か子供みたい。
「どうぞ」
「ありがとう」
満面の笑みを浮かべた。
だから……
その笑顔は反則だってば。