宿命の奇―destiny―
部屋から出て船の前に移動した。

外の風は、気持ちよかった。

「あれ?どうしました??」

「いえ、ただ風に当たろうかと。」

「そうですか。気持ちいいでしょ?」

「はい。」

「でも、自然には、敵わない。人間がどう足掻いても。神に頼んでもね。」

「何のことですか??」

「いえ。気にしないでください。それでは。」そう言うと、藍は船の中に入っていった。

僕は、海を見ながら藍の言ったことを考えていた。

「せーちゃん??」呼ぶほうに振り返ると、そこには奏譜がいた。

「うん??どうかしたのか?」

「あの二人仲良くなっていたから逃れてきた♪せ~ちゃん」ギュッと腕を腰に回してきた。

「どうかしたの??せーちゃん??」

「さっき藍さんが言ったこと考えてたんだ。」

「どんなこと言ったの??」

「それは、『自然には、敵わない。人間がどう足掻いても。神に頼んでもね。』だって。」

「ふ~ん。自然にはかぁ。人間は、自然のおかげで生きてる。いや、生かされているんだよ。それは、気づきそうで気づかないことなんだよ。」

「確かにな。」

「それは、たぶん人間の死を表しているんだと思うよ。」

「そう。なんか藍さんにあったんだと思うよ。自然に関係する何かがね。」

「あぁ。」

「それよりどんな噂なのかねぇ。早衣の祀り島の噂。」奏譜の瞳は、妙な輝きがあった。

「そうだな。」僕たちは、部屋へと帰っていった。
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