【完】向こう側の白鳥。
side 白鳥柚子
「柚子ちゃん、聞いた? 一ノ宮先輩、いつもテスト余裕で一位なのに、今回のテスト十位にも入ってなかったんだって。」
あれから日が過ぎて、テストが終わって、六月になった。
梅雨が始まって、最近は雨ばかり。
今日も大雨で、私は菜子ちゃん家に遊びに来ていた。
「あの一ノ宮先輩がだよ? ぜっっったい!! 絶対、柚子ちゃんが原因だよ!」
先日テストが返って来て、各学年の掲示板にはトップ五十位の名前が貼り出された。
どうやらそのテストで、いつも学年一位の一ノ宮先輩が十一位だったらしい。
けれど、それは……。
「……ただの偶然だよ。」