【完】向こう側の白鳥。
――そんなこと、絶対言えない。
その日の夜、一人。
私は天井を見上げて、今日のことを思い出していた。
あのあと、先輩を私の家に招いた。
変な意味じゃなくて、ずぶ濡れな先輩をそのまま家に帰すなんてこと、私には出来ないから。
寧ろ先輩は遠慮した言葉を並べていたけど、私が無理矢理家に上げて、お風呂で体を温めてもらった。
私は移動したときを除くと、殆どの時間を先輩に抱きしめられていて、そこまで濡れていなかった。
先輩がお風呂に入っている間、私はリビングを片付ける。
洗濯物、絵が描かれて散らばっている紙、溜まっていた洗い物などを片付けて、先輩がいつ上がって来てもいいようにした。