【完】向こう側の白鳥。
私は白滝と大根が好き。
まずはと手を伸ばした白滝。
多くを取ったつもりが、箸が持ち上げた白滝は一本だけだった。
大根の下敷きになっている白滝の一本が箸にかかり、私はそれを知っていて箸を高く上げる。
白滝が一本、プツンと切れた。
……いつか私と先輩の関係も、この白滝のように切れてしまうのか。
怖いと思った。
この白滝のように呆気なく、私と先輩の関係は切れてしまうんだと。
「……美味しい。」
なのに皮肉にも、この切れた白滝は美味しい。
先輩の背中に回した腕を、失敗したとは思わなかった。
後悔は無い。
私は自ら先輩が愛す人の“代わり”となることを決心したんだ。