【完】向こう側の白鳥。
――「それ、本気か。」
次の日、一ノ宮先輩は欠席だった。
当たり前と言われれば、当たり前。
四時間以上も雨に打たれ続けたんだ。
風邪を引かない方がおかしい。
「はい、本気です。」
それを良いことに、私は堂々と沢渡先輩に近づき、昨日の決心を伝えた。
沢渡先輩は目を丸くする。
「お前は見られていない、愛されていない。紫苑が見ているのは、別人なんだぞ?」
分かってる、そんなこと。
それでも、私は……。
「私は、一ノ宮先輩が好きです。」
引き返せない。
私は傷つくことを選んだんだ。