【完】向こう側の白鳥。
こ、ここだよね……?
間違っては、ないと思う。
“一ノ宮”の表札の掛かった家は、それは大きい。
三階まであって、見上げれば首が痛い。
「一ノ宮先輩……こんなところに住んでるんだ……。」
しばらく、インターホンを押すのを躊躇した。
だけど、ずっとそういうわけにもいかなく……。
――ピンポーン
恐る恐る、震える指先でボタンを押した。
…………。
……誰も出ない。
こういうとき、もう一度押すべきなのだろうか。
友達の家なんて、菜子ちゃん家ぐらいしか行ったことが無いから、よく分からない。