【完】向こう側の白鳥。
さっきの言葉……、先輩のお母さんに聞かれなくて良かった……。
……いや、先輩に聞かれるのも恥ずかしいけど……。
「ん。……悪いけど、体調悪いんだ。とりあえず入って。」
ガチャッと、暗証番号付きのドアの鍵が開かれた。
一度深呼吸をし直して、ドアノブを掴む。
せ、先輩のお母さんに会ったら、まずは挨拶……。
先輩との関係を言って、名前言って、用件言って……、
……あっ、手土産忘れた……!
どうしよう……っ、今からでも買いに行くべき……?
……何分、男の人の家なんて、私は行ったことがない。
それが彼氏の家となれば、尚更。