【完】向こう側の白鳥。
一人、人の家の前でテンパる私。
これこそ正に不審者。
や、やっぱり……一度出直して……。
そう決めたとき、まるで待ちきれなかった子猫が餌を求めるかのように、目の前の扉が開いた。
「……遅い。」
不機嫌でしんどそうな、先輩の顔。
「……ごめんなさい。」
思わず口にした。
先輩に腕を掴まれるがまま、私は初めて男の人の家へと足を踏み入れる。
部屋数も多ければ、一部屋の広さも凄い先輩の家。
玄関から見える階段を上って、すぐ手前が先輩の部屋らしい。
自室に入るなり、一ノ宮先輩はベッドへとダイブ。