【完】向こう側の白鳥。








「せ、先輩っ、大丈夫ですか……っ?」





そういえば先輩は病人だった……!





わざわざ玄関まで迎えに来てもらったりして、何してるんだろ私……。





「お、お粥作って来ますね! 薬も買って来ましたし……。」





眠る一ノ宮先輩に布団を被せ、持って来た袋を持って部屋を出ようとした。





でも後ろから……先輩が……、



「行かないで……柚子……。」





「せっ、せせせせ先輩!?」





背中に感じる、常人よりも遥かに高い体温。



私の胸の前に回った、力無い先輩の腕。





「ここにいて、柚子……。」





そして耳に触れる、先輩の熱い吐息……。








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