【完】向こう側の白鳥。
とことん、私は敵わない。
「……白鳥さん、悪いけど今日はもう帰って。」
「え……。」
「白鳥さんの作ったお粥があるから、もう大丈夫。……移すと悪いし、今日はもう帰って。送っていけないけど……。」
私のことを“白鳥さん”と呼んで、私を方を見た一ノ宮先輩の目は……。
さっきの冷たい怒りの目の中に、いつもの儚さを含んでいた。
「っ……!」
私は、この目が嫌い。
この目は私を見てくれないから。
「で、でも……!」
この目は……“白鳥柚子”を見てくれない。
「帰って。」
その言葉は、私が初めて先輩から言われた“拒絶”の言葉。