【完】向こう側の白鳥。
つらい……こんなにも辛いのなら、私はどうすれば良かったの……?
先輩の毒牙に溺れてしまった私。
昨日の先輩の手を跳ね返すなんてこと、何度繰り返しても私には出来ない。
きっと何度も繰り返して、何度も傷つく。
こうやって涙を流すのも、必然なんだ。
「…………。」
ぼけーっと、空を眺めた。
昨日の公園のベンチに座って、飛行機が空に描く雲を見る。
今日は梅雨の時期に珍しく晴れ。
空は綺麗なマリンブルーだった。
……世界中の誰かがどこでどんな理由で泣いても、こうやって空は皮肉にも青く輝く。
今の私には、その輝きが眩しい。