【完】向こう側の白鳥。
ふと思い出したのは、お姉ちゃんの笑顔だった。
お姉ちゃんは完璧な人。
芸能界からスカウトを受けるほどの美貌を持っていて、かと言ってそれを理由におごったりしない。
どんなに美しくても、嫉妬からのいじめなんて無かった。
それはお姉ちゃんが誰にも優しくて、一人一人を大事に丁寧に接して来たから。
優雅に、端麗に……お姉ちゃんは生きていた。
私には眩しいこの太陽の下でも……お姉ちゃんならきっと、相応しい姿で堂々と立てるのだろう。
同じ親から生まれた姉妹なのに、こんなにも違う。
容姿は似てるとよく言われるけれど、その容姿の活かし方が最早違う。
お姉ちゃんは、誰かの“代わり”になるような私とは違う。