【完】向こう側の白鳥。
「梅芽ちゃん?」
そのとき、私以外誰もいない昼の公園に一つの声が響いた。
もちろん、私の声じゃない。
「梅芽ちゃん……なわけないか。制服だもんね、梅芽ちゃんの妹かな?」
そう言って近づいて来たのは、栗色の髪を綺麗に結い上げている女の人……。
お姉ちゃんの友達……?
「初めましてー。あたし、桂木果穂(かつらぎ かほ)。梅芽ちゃんの友達なの。」
「は、初めまして! 妹の柚子です。」
この会話だけで、果穂さんが気さくで話しやすいことがわかった。
さすがお姉ちゃんの友達と言うべきか、服装や髪型も、大学二年生とは思えないぐらい大人びてる。