【完】向こう側の白鳥。
笑顔を作って手を振る。
何だか、いつもの倍疲れた……。
「また明日、白鳥さん。」
そう言って、来た道を戻って行った一ノ宮先輩。
家、どこなんだろ……。
てっきり同じ道だと思っていた私は、来た道を戻る先輩を見て少し罪悪感を感じた。
「……夕飯作ろ。」
ドアの鍵を開け、袋を持った私はさっさと家へと入った。
あれ……、夕飯何にするんだっけ……?
いなくなった隣が、少し寂しく感じる。
袋の中の食材を冷蔵庫へと仕舞いながら、私はさっきまでのやり取りを思い出していた。
そういえば……。
「一ノ宮先輩、やっぱり私の名前知ってたんだ……。」