【完】向こう側の白鳥。








五時半の空は赤い。





風でたなびく白い雲がほんのり朱色に彩られ、そして空は一面に夕日色。





「カァ、カァー。」



カラスが鳴いて、



「また明日なー!」



子供は家へと帰る。





そんな日常が、とても綺麗な絵に見える。



実際、とても綺麗なんだ。





「……生きるっていいな。」





お姉ちゃんを思い出す。





生きたくても、生きられなかったお姉ちゃん。



世の中には、そんな人がうんといるんだ。





生命を、簡単に手放してはいけない。





お姉ちゃんみたいな人の為にも、私は生きる。



そして、この綺麗な日常の絵を、私はこれからも見て行きたい。








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