【完】向こう側の白鳥。








一度、目をつぶって深呼吸をする。





そして、私は口を開いた。





「一ノ宮先輩が好きなのは、私じゃなくて……私の、お姉ちゃんですよね。」





少し遅めに終わった私のクラスのホームルーム。



終業式ということもあって、殆どの人が帰っていなかった。





所々、主に運動部は部活があるらしく、外からは野球部やサッカー部の声が聞こえる。





廊下はしんとしていて……、私の声がよく響いた。





「……紫苑が言ったのか?」





沢渡先輩は目を丸くして、悲しげに顔を歪めてから言った。





否定しないってことは……本当にそう、なんだ……。



覚悟はしていたけど、やっぱり胸が痛い。








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