【完】向こう側の白鳥。
私は何も言わなかった。
「……その様子じゃ、知った理由に紫苑は関係無いようだな。」
ポケットから煙草を取り出した先輩は階段に腰を下ろして、取り出した煙草に火をつける。
煙が上へと上っていく。
「……まさか、白鳥先輩に妹がいたなんてな……。」
“白鳥先輩”
沢渡先輩の言ったその一言が、真実を語った。
「……直接会ったのは一回だけだ。俺は違う高校だったしな。」
「会ったのは本当偶然。街でブラブラしてたときに、白鳥先輩といる紫苑を見かけた。」
「白鳥先輩のことは、前々から紫苑とのメールで聞いていた。……紫苑が白鳥先輩に惚れていることも知っていた。」