【完】向こう側の白鳥。
side 白鳥柚子
トーストに苺ジャムを乗っただけの朝食を終える。
この苺の甘さが、私はたまらなく好き。
「さてと……、そろそろ菜子ちゃんが来る時間……。」
時計を見れば短針は七を、長針は九を指してる。
菜子ちゃんが迎えに来るのは、決まって八時前。
多分あと五分もしない内に、インターホンが鳴ると思う。
そうなる前に……。
「…………。」
テーブルの上に飾られた、お姉ちゃんの写真の前で手を合わす。
白鳥梅芽(しらとり うめ)。
私の、たった一人のお姉ちゃん。
美人で優雅で端麗で、もちろん性格も良い。