【完】向こう側の白鳥。
一ノ宮先輩が想っていたのは、紛れも無い、私のお姉ちゃんだった。
付き合ってなかった二人に疑問はある。
それでも、二人が想い合ってることに偽りは無かった。
そして…………私の恋心は、実らないことがわかった。
『…………俺も、好きだよ。』
……私はお姉ちゃんじゃない。
白鳥梅芽じゃない。
白鳥柚子だ。
……これからどうするか、私の傷だらけの心は、もう決めていた。
「……一ノ宮先輩……大好きでした……。」
七月の末。
私は先輩にこの言葉を告げる。
言えないかも知れない。
涙が零れてしまうかも知れない。
それでも、私は…………。