【完】向こう側の白鳥。
side 白鳥柚子
いつもと同じ、静かな私の家。
リビングに響くのは、時計の秒針の音だけ。
七月三十一日。
夏祭りの日。
「お姉ちゃん……。」
机に伏せて、お姉ちゃんが笑っている写真を見る。
何度見ても美人。
何度見ても綺麗。
姉妹なのに、私とは全然違う。
見た目だけじゃない、性格も。
「……一ノ宮先輩は、お姉ちゃんのどこを好きになったんだろう。」
きっと、お姉ちゃんにはあって私には無いところ。
お姉ちゃんは文句なしの素敵な人だったから、一ノ宮先輩が恋しても何もおかしくない。
先輩が私を好きになるより、ずっと納得がいく。