【完】向こう側の白鳥。
夜六時を過ぎた。
約束は六時半だから、あと三十分で先輩が迎えに来る。
沢渡先輩と話をして、果穂さんから真実を聞いて。
……あの終業式からずっと、私は考えていた。
何が、私と一ノ宮先輩……そしてお姉ちゃんにとって、最も良い選択なのか。
何も思い付かなかった。
良い案も悪い案も、何も。
考えたことはたくさんある。
一ノ宮先輩とお姉ちゃんが付き合わなかった理由。
一ノ宮先輩がお姉ちゃんとの関係を私に黙っていたこと。
私が真実を知ったことを話せば……先輩は私に、どのような態度をするのか……。
色々なことを考えて、
何を考えても、良い結末は想像出来なかった。