【完】向こう側の白鳥。
side 白鳥柚子
「柚子ちゃん、柚子ちゃん。また先輩、柚子ちゃんのこと見てるよ。」
「え?」
昔からずっと一緒の幼なじみ、菜子ちゃんに言われて、私は首を傾げる。
「え? じゃなくて! 一ノ宮先輩!」
「あ、あぁ、先輩のことか……。」
「もう! 聞いてなかったの?」
菜子ちゃんの怒りようを見れば、絵を描くのに集中してて聞いてなかったとは、とてもじゃないけど言えない……。
仕方なく苦笑いして、その場をごまかす。
「ごめんね、菜子ちゃん。」
「……柚子ちゃんは可愛いから許す!」
「あ、ありがとう。」
今日の菜子ちゃんは、一段とテンションが高い……。