【完】向こう側の白鳥。
私の自慢のお姉ちゃんは、二年前にこの世を去った。
相手の居眠り運転による交通事故。
お姉ちゃんは即死だったらしい。
その時の私は中学二年生で、お姉ちゃんは高校三年生だった。
先生からは過大な期待を受けていて、後輩からは高嶺の花と、同級生からは正に憧れと慕われていたお姉ちゃん。
当然彼氏もいたし、仲の良い友達もたくさんいたのに。
お姉ちゃんは呆気なく、あの世へと逝ってしまった。
「……いってきます。」
ソッと呟き、写真の前に置いていた髪飾りを手に取る。
黄色の花をモチーフにした、白の髪飾り。
これはお姉ちゃんの形見。