【完】向こう側の白鳥。
「どう、して……っ。どうして……!!」
どうして、お姉ちゃんが先輩の想い人なの?
神様のいたずら?
にしては陰湿すぎるよ。
性格悪い。
でもこれが、神様のいたずらなら。
お願い、神様。
一ノ宮先輩の記憶の中から、私を消してよ。
先輩は優しいから、私が知ったことを知れば、絶対に自分を責める。
どれだけ、私は傷ついてもいいから。
先輩にだけは、辛い想いをさせないで。
あなたがしたことなら、それらを全て水に流すから。
この願いだけを、叶えて下さい……。
いつかきっと、私の知らないどこかで、
彼を幸せにしてあげて下さい。