【完】向こう側の白鳥。








唯一違うのは、髪型だけ。





お姉ちゃんは茶髪で、その綺麗な髪をストレートに伸ばしていた。


傷みや枝毛のない、誰もが羨ましがるほどの髪。





それに比べて私は黒髪の短髪。



親から遺伝のくせっ毛のせいで、梅雨のときなんかは本当に跳ねが酷い。



髪を伸ばせば、絵を書くときに邪魔になるから伸ばしはしない。





「柚子ちゃーっん!!」



「わかったってば!!」





リビングにいるときに二回、玄関にいるときに一回。



何回呼べば気が済むんだか。





――ガチャ





ドアを開ければ、そこには菜子ちゃんが満面の微笑みで立っていた。





あー……嫌な予感。








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