【完】向こう側の白鳥。
side 白鳥柚子
――あれから、一ヶ月が経過した。
夏休みが終わった。
「柚子ちゃあーん!!」
ピンポーン
相変わらず、呼ぶこととすることが逆な菜子ちゃん。
夏休みの間、何度か菜子ちゃんと遊びには行ったけど。
この感覚は久々だ。
「柚子ちゃーっん!!」
「今行くからー!!」
机の上の白い髪飾りを手に取って、写真に挨拶。
「……行ってきます、お姉ちゃん。」
私が一ノ宮先輩に、どれだけ酷いことを言ってどれだけ傷つけても、写真の中のお姉ちゃんの微笑みは、変わらなかった。
今も、お姉ちゃんは優雅に微笑んでいる。