【完】向こう側の白鳥。
「おはよぉー、柚子ちゃん。」
「菜子ちゃん、おはよう。」
学校への通学路。
八月に何度か部活があったものの、片手ほどの回数。
菜子ちゃん家に行くか、家に引きこもっていたから、何だかこの道が懐かしい。
「ここも久々だねー。」
同じ気持ちだった菜子ちゃんが代弁してくれた。
片手ほどあった美術部の活動。
一ノ宮先輩と顔を合わせることを承知で、私は菜子ちゃんと一緒に部活に来ていた。
別れて以来、先輩からはメールも電話も来ない。
家にも来ない。
……当たり前だよね。
あんな酷いことを言って、別れたんだから。