【完】向こう側の白鳥。
そして部活にも、一ノ宮先輩は顔を出さなかった。
「あれ? 一ノ宮先輩いないねー。休みかなぁ?」
何も知らない菜子ちゃんがそう言う。
“休み”
直ぐにわかった。
わかってしまった。
……私が、一ノ宮先輩に避けられていること。
大好きな部活に顔が出せないほど、先輩は私に会いたくないんだ。
完璧嫌われた。
……でもこれで、よかったんだ。
元々、私と一ノ宮先輩は“他人”だったんだから。
……結局、一ノ宮先輩は一度も、美術部に顔を出すことはなかった。
美術部全員が理由を私に聞いて来たけど、私は何も答えられなかった。