【完】向こう側の白鳥。








「そうだ、柚子。お前、今日暇?」





なんてことを考えていれば、突然沢渡先輩にそんなことを聞かれた。





……何だか、嫌な予感……。





「ご、ごめんなさい。今日は菜子ちゃんと約束があって……。」





約束って言っても、ただ一緒に帰るだけなんだけど……。





きっと、それは言っても言わなくても同じだ。





「そんなの知らねえよ。」





嫌な予感はやっぱり命中。





沢渡先輩は力強い手で私の腕を引いて、半ば無理矢理階段を駆け下りて行く。



菜子ちゃんともう一人の男子生徒の姿は、あっという間に見えなくなった。





……というか先輩、一体私を何処に連れて行く気なんだろ。








< 227 / 390 >

この作品をシェア

pagetop