【完】向こう側の白鳥。
世の中って狭い。
「こっち。」
そこからもまた腕を引かれて、マンション内のエレベーターに乗せられる。
沢渡先輩の家は九階らしい。
ガチャ
鍵が開けられて、扉が開く。
「適当に寛いで。」
「お、お邪魔します……。」
入った途端にさっさと姿を消した沢渡先輩。
寛ぐって……どこで、何して?
「…………。」
ボスン
仕方なく、目と鼻の先にあったソファーへと座る。
うわあ、ふかふか。
もしかして沢渡先輩って、赤髪とかピアスとか開けまくってるけど……。
どこかの、御曹司だったりする……?
無駄に広いリビングを見渡した。