【完】向こう側の白鳥。
「で!? それって本当!?」
「……本当。」
「デマ!?」
デマだったらよかったのにね。
「残念ながらも、本当のことだよ。」
せめて心だけでもと否定しておきたいけど、万が一後からバレたときのことを考えれば、今話してる方が絶対面倒臭くない。
菜子ちゃんに見られないよう、ソッと二度目の溜息をついた。
「なんでなんで!?」
「はいはい。もうこの話は終わり。早く行くよ、遅刻する。」
いつもより早めのペースで歩き出せば、菜子ちゃんが慌てて追って来るのを私は知ってる。
「あ、待ってよ! 柚子ちゃん!」
菜子ちゃんが単純なことも。