【完】向こう側の白鳥。
「菜子ちゃん、泣いてるの?」
私の質問に、菜子ちゃんは答えなかった。
最早涙を隠さずに、大声で私の部屋を響かせる。
「断れなかった……なんて、嘘じゃない! 柚子ちゃんは……柚子ちゃんは、寂しかっただけでしょう……?」
「柚子ちゃんがしたこと。……一ノ宮先輩と同じだよ!!」
今度こそはツーツー、と、電話が切れた。
聞こえるのは電話音だけ。
「菜子、ちゃん……?」
どんな結果を選んでも、菜子ちゃんは味方してくれると勝手に思っていた。
けれどそんなことは無くて。
切れた電話に、私は菜子ちゃんに愛想を尽かされたことを悟った。