【完】向こう側の白鳥。
「……梅芽ちゃんだけじゃない。あたしも、紫苑くんを許さない。……あんなにも純粋で可愛い柚子ちゃんを、梅芽ちゃんの代わりにするなんて……。」
「柚子は梅芽の代わりなんかじゃ……!!」
一ノ宮先輩はそう言いかけて、言葉を止めた。
「桂木先輩……もしかして、柚子はこのこと……。」
「……柚子ちゃんは全て知ってるよ。紫苑くんの想いも、紫苑くんの行動の意図も。」
二人の会話を少し離れた場所で聞いていて、……終わった、と思った。
隠していたこと全てが、果穂さんにも、一ノ宮先輩にもバレてしまった。
「……竜くんが言ってた。紫苑くんが柚子ちゃんのこと、梅芽ちゃんの代わりにしてるって。」