【完】向こう側の白鳥。
全てを謎に隠したまま……私は先輩の記憶から消えたかったのに……!
「答えてよ……! どうしてっ、沢渡先輩……っ!」
涙を流して、裏門から帰路を歩く。
もう茜じゃない、紫色な空。
声さえあげなければ、私の涙も闇に囚われそうな暗さ。
だけど、声を抑えることは私には出来ない。
「沢渡先輩!!」
自分の中では留まり切れないほどの怒り。
沢渡先輩構わず、誰でもいいからぶつけたい一心だった。
「……柚子。」
「ぐすっ……な、に……?」
「明日……デート行くぞ。」
デート……?
何……いきなり……。