【完】向こう側の白鳥。
side 白鳥柚子
――正直、デートする気なんて毛頭ない。
ただ昨日の、最後の言葉の理由を聞きに来ただけ。
「待たせたか?」
二分ほど遅れてやって来た沢渡先輩が、私の手を引いて歩き出す。
「沢渡先輩……。」
「……とりあえず、喫茶店でも行くか。」
私は頷いた。
昼が過ぎて一時間ほど経つせいか、喫茶店のお客さんはそこまで多くなかった。
ちらほらと席が空いていて、私と先輩はカウンターの二席に腰を下ろす。
「コーラ。」
「カフェオレ一つ。」
注文を取りに来たウエイターさんに、カフェオレを頼んだのは私。
先輩はコーラ。