【完】向こう側の白鳥。
飲み物二つが来るまでは無言だった私達。
でも飲み物は直ぐに運ばれて来たから、無言だったのはほんの数分。
カフェオレを一口、口にしたとき、沢渡先輩が声を発した。
「……果穂が、紫苑に話したんだろ?」
「……うん。」
果穂?
思った疑問を飲み込む。
「本当おしゃべりだな、アイツ……。紫苑には言うなって言ったのに……。」
この様子だと、沢渡先輩が果穂さんに話して。
口止めされていたのにも関わらず、果穂さんが勝手に一ノ宮先輩に話した、って雰囲気。
つまり、沢渡先輩を怒るのはお門違い。
それを聞いて、ほんの少しだけ沢渡先輩への怒りが晴れた。