【完】向こう側の白鳥。
「…………果穂と再会したのは、本当偶然。」
沢渡先輩は話す。
「たまたま行った美容院でアイツが働いていて。俺はアイツが留学から戻って来たことなんて知らなかったから、凄く驚いて。」
「果穂は果穂で驚いて、何だかそのまま懐かしい雰囲気になって。」
「アイツのバイトが終わる時間まで待たされて。……それから、紫苑の話になったんだ。そこで、果穂とお前が知り合いなことも知った。」
カフェオレの入ったマグカップの取っ手をギュッと握る。
沢渡先輩の飲んでいたコーラは、もうとっくに無くなっていた。
「……果穂の奴、嘘とか直ぐ分かる奴だから嘘つけなくて、仕方無しに話したんだ。」
“紫苑に話さないことを約束に。”