【完】向こう側の白鳥。
果穂さんが留学してから直ぐ、お姉ちゃんが事故にあって亡くなったこと。
それから一ノ宮先輩はまるで表情を無くたように、約二年間心を閉ざしていたこと。
今年の春になってお姉ちゃんの妹、私が入学して来たこと。
ここ数ヶ月は、私の存在で一ノ宮先輩の心が落ち着いていたこと。
……まだまだ沢山あって、私の知らないこともあった。
「言い終わったあと果穂が、そんなの柚子を白鳥先輩の代わりにしてる、って、怒ったんだ。」
そう、だったんだ……。
あれ……?
「でも昨日は? それって、昨日ことじゃないですよね?」
バイトを待たされた後の話なら、昨日のことだとおかしい。
話を聞いてる内に喉が渇いて、カフェオレを飲み干す。