【完】向こう側の白鳥。
気づけば階段に来ていた。
一年生は二階、三年生は四階の北校舎に教室がある。
ここは北校舎の階段。
運動場も北校舎側にある為、さっきまで体育の授業だった三年生達は、この階段を上って自分の教室へと向かう人が殆ど。
タイミングが良いのか悪いのか、丁度一階から一ノ宮先輩が階段を上って来ていた。
顔を合わせたくなくて、踵を返す。
さっさとここを離れて、教室へ戻ろう……。
そう思ったのに。
「あ……。」
何かに気づいたような、一ノ宮先輩の声。
その声に、私は思わず振り返ってしまった。