【完】向こう側の白鳥。
「本当にお前ムカつく。未だに結果論な性格してるわけ?」
「っ……。」
「はっ、図星か。」
柚子は俯いて、繋いでいる俺との手に力を込める。
少し痛いけど、別にこれぐらい平気。
きっと今は、柚子の方が痛いと思うから。
「……でもお前、昔と違って美人になった? さすが梅芽の妹。元は一緒だもんな。どう? 何なら、俺と付き合う? 柚子、昔俺のこと好きだったもんなあ。」
新間先輩の手が柚子へと伸びる。
俺はその手を素早く払いのけ、柚子の腰に腕を回して一層距離を近めた。
コイツにだけは……柚子を渡してはならない。
また、あの時みたいに誰かを失うのは嫌だ……!