【完】向こう側の白鳥。
それとこれとは全く話が別。
新間俊二の口から梅芽の名前が出るだけで、今すぐにでも殺したくなる。
「ふっ、おっかねえ顔。……今日のところは帰るわ。これから約束あるし。」
「…………。」
「そんな顔すんなって、紫苑。……また電話かけるから、無視すんじゃねえぞ?」
新間俊二は柚子がやって来た角を曲がって行って、直ぐ姿は見えなくなった。
その途端に、どっと肩が軽くなる。
自分の中に蓄積されたアイツへの恨みが、少しずつ浄化されている感。
「あ、あの……。」
胸元から聞こえて来た声に、また無意識に柚子を抱きしめていたことに気づいた。