【完】向こう側の白鳥。
桂木先輩が正門に背中を預けているのを目にしたときは、見間違いかと思ってしまった。
梅芽の親友、とまでいかなかっただろうけど、梅芽と仲が良かった桂木先輩。
言いたいことがわかる。
竜からでも聞いたんだろう、俺と柚子の関係を。
話は思っていた通りのことで。
フランスへと留学していた彼女は最近になって漸く、梅芽の現在(いま)を知ったよう。
怒りで何でもかんでも口に出す桂木先輩。
柚子と知り合いなことには、少し驚いた。
柚子に全てを知られていたことについては、結構驚かされた。
それと同時に感じた、心を乱すような焦り。