【完】向こう側の白鳥。
side 白鳥柚子
一昨日はあれから、一ノ宮先輩と別れて。
二日が経って、月曜日。
「な、菜子ちゃん!!」
登校中に見かけた、菜子ちゃんに声をかけるという至難。
菜子ちゃんは一度こっちを見て、呼んだのが私だと気づけば直ぐ顔を背けた。
そのまま足を進めて、何も無かったように振る舞う。
いつもはそれで、くじけていた私。
だけど、今日は違う。
肩にかけている鞄とは逆の手を、ギュッと掴んだ。
「私……沢渡先輩と別れた、よ。」
驚いたように振り返った菜子ちゃん。
次第に菜子ちゃんの目に、透明の雫、涙が溜まって来る。